Musik
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2004/09/27
グルダのモーツァルト弾き振り〜20番&23番
モーツァルト/Mozart
ピアノ協奏曲第23番 イ長調/Piano Concerto No.23 in A, K.488
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調/Piano Concerto No.20 in D minor, K.466
フリードリヒ・グルダ/Friedrich Gulda (p.& cond.)
北ドイツ放送交響楽団/NDR Symphony Orchestra
1993/5/2 (K.466) / 1993/5/3 (K.488) (live)/STEREO
EMI(NDR KLASSIK)/5 62857 2(独・輸入盤)
【満足度】●●●●○
モーツァルトが嫌いだ!という話は前もどこかでしたが、ピアノ協奏曲やオペラくらいは聴いていた。今回、ドイツのEMIより発売されたNDRシリーズの一番の目玉は「コンドラシンの指揮したマーラー:交響曲第1番『巨人』」であるようだ。テンシュテットがキャンセルしたことにより急遽指揮台に上がったコンドラシンの演奏で、その夜のコンサートは大成功に終わった。しかし、コンドラシンはホテルに戻り、そのまま不帰の客となった・・・というのはマニアの間では超有名な話で、すでにCINCINという海賊風レーベルからリリースされており、その盤を持っている私にとっては多少の音質改善があっても、特に目新しいものではなかった。あとはイッセルシュテットの指揮したものだが、そう魅力も感じず(でも、一応買った(爆))、試聴機にあるこのグルダのモーツァルトの弾き振りを何気なく聴いてみた。
よかった。一聴しただけだが、なんといきいきとした演奏だろうか。「モーツァルトらしさ」をどこに求めるかでモーツァルト演奏としては評価は変わってきそうだが、名演にかわりはない。23番はこれまで積極的に聴いてきた曲ではないが、これで一気に目覚めたように感じた。20番も「モーツァルトの数少ない短調曲」という理由だけで聴いていたが、この演奏ですっかり虜になった。グルダのピアノは自由に、色彩感豊かに奏でられる。このCDを聴いてから、グルダの主要な録音を聴いてみたが、TELDECから出ているアーノンクールとの23番・26番も個性的ですばらしかった。この人のモーツァルトは必聴だと思う。アバドとの演奏は少しつまらなく感じたが。
2003/11/03
【Concert Report】第126回つくばコンサート
〜スクロヴァチェフスキのブルックナー交響曲第8番〜
ブルックナー/Bruckner
交響曲第8番 ハ短調/Symphony No.8 in C minor
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮/Stanislaw Skrowaczewski(cond.),
ザールブリュッケン放送交響楽団/Saarbrucken RSO.
2003/11/03,15:00-16:40 Nova Hall,Tsukuba,Japan
〜茨城県つくば市、ノバ・ホール
【満足度】★★★★☆今年も11月となり、個人的には長い一年と感じていた今年も、ようやく2ヶ月を切るところとなった。冷夏と、9月の残暑、めまぐるしい気温の変化があった今年も10月の下旬に来て、本来の季節感を取り戻したのか、いよいよ秋らしくなってきた。この季節になるとこの街ではクラシックのコンサートも少し精彩を帯びてきて、先月もパスカル・ロジェが得意のサティやドビュッシーを弾くというので聴きに行って来たばかりだ。私はフランスのピアノ曲についてはかなり疎いのでコンサート・リポートという形は避けるが、ロジェは濁りのない、しかしながら色鮮やかな音色を聴かせてくれて、よい音楽の秋の幕開けを味わうことができた。
さて、今回はそれに続いてブルックナーである。しかも交響曲第8番。私がブルックナーの交響曲で、最も最初に聴くようになった曲だ。ブルックナー大好き人間というわけではないが、ブルックナーの音楽を聴き始めるきっかけになった曲なので、楽しみにしていた。同曲としては、もう5年以上前になるが、ウーヴェ・ムント指揮京都市交響楽団の演奏で聴いて以来、2度目の生演奏となる。あの時はまだブルックナー初心者で、なかなか理解できない部分も多かったが、今回はあれ以来しばしばCDで接しているから準備万端だ。演奏はミスターSなどと呼ばれることもあるスクロヴァチェフスキが手兵ザールブリュッケン放送交響楽団を指揮する。このコンビの演奏は廉価盤のARTE NOVAレーベル(現在はOHEMS CLASSICSより発売)でCD化されており、今回の演奏会に先立ち中古屋で2枚組400円という財布に優しい価格で調達してきたが、ブルックナーマニア受けしそうな音楽のバランスを重視した演奏であった。個人的にはブルックナーは、特に交響曲第8番は豪快な演奏が好みなので少し物足りなさを感じた(まあ、開眼盤がテンシュテット指揮シカゴ響の放送用ライヴ録音ですので・・・)。
ホールまでは家から歩いて10分とかからない。この点だけは、恵まれていると思う。早速ホールに入ると、とにかく客の入りが悪い。徐々に増えたものの、この様子では定員の半分がやっとだろう。東京ではこの何倍もの定員もあるホールが早々と売り切れたことを考えると人気がないからということではなく、この街にクラシック、しかもブルックナーを受け入れる素地がないからであり、この街でクラシックの演奏会をするっていうのは興行的に難しく、これだけ入れるのにも補助金やら何やらの上で成り立っているというのは、今までの経験から明らかなので当然と言えば当然なのだが、やはり気にはかかる。わざわざドイツから来てもらってるのに悪いなあ、という気がしてしまう。
開演時間となり、オーケストラがステージに入場してくる。ホルンの場所に、細長いホルンのような楽器が4本すでに置いてあり、何だろう?と思っているとそこにはホルンを持っている奏者が座った。じゃあ、あの楽器は何?そう思っているうちにも奏者たちがどんどん入場してきて、チューニングを始めている。さすがブルックナー、大編成だけにステージから溢れんばかりのオーケストラの人数だ。ハープも左側に2台もあり、チェロやコントラバスの多さは壮観ですらある。そこへスクロヴァチェフスキ氏入場。今年で御歳80歳、歳をとっているとは感じるが、まだまだしゃきしゃきしている。でも、こんな長い曲で、イスにも座らず、手すりなどの支えにも頼らず指揮をし続けるのはかなりの重労働だろう。スクロヴァチェフスキはポーランドに生まれ、第二次大戦で手に負傷を負い、ピアニストから指揮者に転向したというが、戦争をくぐり抜けてきた人間というのは強いものだ、と自分の祖母を思いだしてみたりする。演奏が始まる。第一楽章をしばらく聴いて思ったが、以前京響で聴いた時とは弦の厚みが違う。また、CDのような録音媒体を通して聴くと自分のシステムが貧弱なのもあるが、低音がいまいち印象に残りにくい。この弦の厚みは生演奏ならではのものだと感激する。金管も響きはよく、ティンパニもさすがプロ!と思わせる演奏で耳もさることながら、見ていて飽きない演奏だ。トランペットの高い音と、トロンボーンの低い音がよく通っていて、非常に格好よかった。難があるとすれば木管だろうか。フルートがかすれていてパート内でも意気があっていなかったのは、ちょっと残念。すばらしかったのは第3楽章。今までCDで聴いた時は、この第3楽章のアダージョは第4楽章の前の一休み楽章程度にしか思っていなかったが、今回の実演を聴き感動した。弦のかけあい、ハープの効果的な演出、そしてホルンの第5〜8奏者の横にあったワーグナーチューバの低い音。「ここで使うのか!」と実演ならではの感激が満載で、CDでは長く感じるこの楽章もあっという間であった。そして、終楽章。ティンパニがうまい。終楽章も冒頭と後半部分の攻撃的な部分に着目ばかりしていたが、今回それを結んでいる部分の美しさも再発見することができた。後半以降は手に汗握り、自分でも興奮しているのがわかった。 終演後は半数ほどしか入っていないホールながらスタンディングオベーションとブラボーが鳴り響き、客席の照明がついても帰ろうとしない聴衆に奏者たちが驚いて退席途中で立ち止まり、客席に手を振ったりしていた。スクロヴァチェフスキも再度ステージに戻り、胸に手を当てて感謝の意を表してくれた。それだけすばらしい演奏だったということもあるが、ここの聴衆はこのあたりが頼もしい(ちゃっかり自分も入ってたりするが)。
今回の演奏会では、スクロヴァチェフスキという指揮者が、非常に丁寧な指揮をする人で、特に音楽の緩急、強弱、明暗を意識的にコントロールしているな、ということを感じた。おそらく、スタジオ録音では音のバランスも考慮して編集されているが、実演ではそれ以上にブルックナー演奏で重視されるそういった対照的な音像を重視しているのではないだろうか。また、それと併せて録音と比べるとかなりエキサイティングな演奏をするという面で、今後このコンビのライヴ録音等もしてくれればいいな、と思った。そういえば、いつもはないマイクがステージ上方と左右、客席後部にセッティングされていたが放送かCDにでもするんでしょうか?ブラボーのタイミングもよすぎたから仕込みも入ってた?とか考えるとありえない話ではないので、ちょっと楽しみだったりします。(木管がばらついてた部分は録音で聴くとさらに酷くなっていそうで怖いけど・・・)
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